築1年建売のホームインスペクション体験談!指摘事項はどれくらいあったの?
今回は、土地込み2,800万円で購入した新築建売住宅に「引き渡しから1年未満」という短期間でホームインスペクションを入れた体験談をまとめてみました。
- ローコスト・建売住宅では不具合があるのか知りたい
- ホームインスペクションに興味がある
結論を先に言うと、大小含めて30点以上の指摘事項が発見されてしまいました。
この記事を書いている今現在も対応を進めているところです。
体験談はシリーズ化してまとめていくので、興味のある方はハッシュタグから「ホームインスペクション体験談」で読んでみてください。
ハッシュタグは記事の最後にまとめてあるよ
ホームインスペクションの結果は?
ホームインスペクションってそもそも何するの?
第三者の専門家にお家をしっかりと診てもらうサービスのことだよ。
参考までに外部サイトのリンクを貼っておきます。
日本ホームインスペクターズ協会:住宅診断(ホームインスペクション)とは
我が家のホームインスペクションの結果を先に書いてしまうと「修正することが好ましい」とされる指摘事項が30点以上ありました。
床下は人通口が通れなかったので1/4程度しか確認できませんでしたが、それでも20点を超える指摘事項が見つかりました。
正直なところ、報告を聞いて頭を抱えましたよね……
一応、総評としては「全体として指摘事項以外には丁寧な工事がされている印象」というものではあったのですが、床下と天井裏を中心に家の構造に関わる部分でも複数の指摘事項が発見されてしまいました。
どんな指摘事項が見つかったの?
詳細は個別の記事にするので、今回は特に確認の必要が大きかった3点だけまとめます。
- 防火関連の施工で建築確認書と現地が違っている。
- 基礎のコンクリートで被り厚不足のおそれ。
- 耐力壁が適切に施行されていないおそれ。
インスペクションの内容は目視と打診棒やレーザー墨出器等の器具を使った点検で、場所は外観、室内、天井裏、床下で実施しました。
指摘事項のひとつ目は天井裏の石膏ボードの施工で建築確認書と現地の内容が明らかに違っている、というものです。
「状況を見るに建築確認書に記載された内容ではないが、別の方法に従って施工されていると思われる」ということだったので、一応施工自体はなされています。
ただ、どのような施工で、何を基準にOKとしているのは要確認という状況でした。
ふたつ目の基礎の被り厚については、元々の設計で基礎のコンクリート幅が狭い上に、ジャンカ(コンクリートの充填不良)になっている場所があり、建築基準法を下回る厚みになっているおそれがあるという指摘がありました。
そして、みっつ目の耐力壁の施工。
こちらは天井裏で1ヶ所だけ、耐力壁の状態を確認できる場所があったので、そこで発見されました。
本来は規定の間隔で適切に下地に打ち付けることで性能を発揮するボードなのですが、多くの釘が下地のないところに打ち込まれて宙に浮いている状態になっていました。
そのままだと、設計上の耐力壁としてカウントできない可能性があり、そうなると設計の余裕度次第では建築違反になるおそれもある、という内容です。
他にも軽微なジャンカや排水配管の逆勾配、土台木材の欠損などもありましたが、即問題があるとも言い切れない内容なので、現在は内容を確認しているところです。
一応、インスペクションの担当者さんからは「すぐに問題が起きる内容ではないし、補修すれば十分に住めますよ」と個人的なコメントとして励ましてもらいました……
一方で指摘内容の程度としては「違反建築になるおそれあり」「契約不適合にあたるおそれあり」「瑕疵と言える可能性が非常に高い」と軽い内容ではなかったので、メンタル的には相当なダメージがありました。
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どうしてインスペクションをやろうと思ったの?
私がホームインスペクションを入れた理由は次のとおりです。
- 建売全体に対して何かしらの施工不良はあるものと思っていた。
- アフターサービスが使える間に家の状態を確認したかった。
- 今後のメンテナンスや改善の参考にしたかった。
「不具合を感じてホームインスペクションを入れた」というよりは、調べていくうちに「施工不良のある家の方が多いのだから、念のために入れておこう」という考え方になって依頼しました。
本気で調べて検討し出したのはマイホームの購入後です。
参考に外部リンクを貼っておきますが、新築戸建てでも、施工不良のある住宅はかなりの件数になっていると言われています。
我が家の場合は自分の収入に見合う予算に収めるためにローコストな建売を選択しています。
そこで、身体で感じていなくても施工不良などのリスクはあるものとしてホームインスペクションを行うことにしました。
あとは住宅性能にこだわっていない分「自分で継続的にメンテナンスや改善はしていかないといけない」と思っていたので、まずは家の状態を確認したかったというのもあります。
市場的にはローコストでも個人にとっては、大きな金額で買った大切なお家だからね。長く住めるようにしたかったんです。
ホームインスペクションでは何を確認したの?
実際には、こんな感じのやり方で診てもらいました
- 外観の目視点検
- 打診棒を使っての打診(タイル・基礎等)
- 建具・設備の確認
- レーザー墨出器での傾斜確認
- 天井裏に入っての目視点検
- 床下に入っての目視点検
- 含水率計での測定
- ジャンカ、クラックの計測
- 契約書面・図面と現地の比較
基本的には外観・目視と簡易的に使える範囲の測定器で家の状態を確認していくものでした。
蛇口からの水の勢いや、建具の取付状態、コーキングの具合なども、しっかり診てもらいました。
さて、突然ですが問題です。
この画像のどこかに1ヶ所、防水層にひび割れがあります。
今回の指摘事項にもなっているのですが、皆さんならベランダの防水層全体の中から見つけ出せますでしょうか?
私は「ここにありますね」と教えてもらったうえで見ても気がつけなかったです。何回か正常な場所と触り比べてようやくわかりました。
というように、目視とはいえ、しっかりと見てもらえた印象です。
なお、防水層の亀裂は構造体の腐食もつながるおそれのある内容なので、要対処の指摘事項になります。
他にも業者によってはサーモグラフィーや、ファイバースコープでの診断もやっていたりするところもあるようです。
インスペクションをやってみて感じたこと
今回、実際にホームインスペクションをやってみて感じたことを並べてみるとこんな感じです。
- 一般人が施工不良を見つけ切るのは無理
- 見えていないところにも怪しいところは多い
- どこのお家にも施工不良の可能性はある
- 役所の手続きがなされていても施工不良はあり得る
- 構造体に指摘事項が見つかると、精神的に非常にキツイ
インスペクターさんに家を診てもらっている間、ずっと隣で「今、どこの何を見ているのか?」「それを確認すると何がわかるのか?」と聞きながら一緒について回っていましたが、一般人が専門家のように家の異常に気がつくのは無理だと思いました。
目視でわかる範囲の異常でも、パッと見てわからないものも多く「このような場所には何かある」という知見がないと、ヒントをもらっていても見落としてしまうような内容も多くあるかと思います。
また、床下や天井裏の施工についても専門家から指摘されなければ違和感すら覚えないものも多いかと思います。
一ヶ所ごとの釘の打ち付け方や不足、金物の扱いなどは一般人が見てもわからないのではないでしょうか。
「きちんと取り付けられているけれど、そもそも本来取り付けられるべきものと違う」というパターンもあるので、建築を知らないと判断できないものもあります。
そして、我が家のように異常を感じていなかったとしても、生活をしているだけでは絶対に立ち入らないような床下や天井裏の奥にも施工不良が隠れている可能性は十分にあります。
家の施工は人間がやる作業です。
工業製品のように工場で決まった工程と手順で作り上げるものではなく、一軒一軒作り上げるものなのでミスも出ます。
本来は施工監理の責任者が、そのようなミスや不具合を見逃さないように責任を持つのですが、実際のところは、あまり現場に出入りしておらず、十分に目が届いていないということもよくあるそうです。
「役所の検査に合格している」と言ったところで、我が家のように違反建築・契約不適合になるような指摘事項を含めて、数十ヶ所の指摘点が見つかってしまうこともあり得るので安心することはできません。
あとは実際に、構造体に関わる内容を指摘されると、その後は非常にメンタルがつらくなります。
「35年ローンで買ったマイホームが欠陥住宅かもしれない」という話は、めちゃくちゃヘビーです。
個人的には、まだ対処のしようがあるうちに、きちんと専門家に住宅の状況を見てもらうことには大きな意味があると感じました。
業者と方法にもよりますが、完成後の建物を見てもらうのなら十数万円で依頼できますよ
これからどうするの?
見つかった指摘事項は工務店に連絡済みです。
補修の仕方と「どこまでやったら完了か?」という部分については引き続き、打ち合わせをしながら進めていくことになっています。
買主・施主側にはしんどいことですが、指摘事項を見つけたとしても「それがどの程度の問題で、補修するとして、どの程度のところまでできたら完了と言えるのか?」という線引きには苦労すると思います。
一点もので、現実には「完璧な施工の同一品」が存在しない住居をどこまで、どのように補修して、何をもって十分に補修できたと言えるのか、を決めていく必要も出てきます。
相手は実務者なので、一般人が相手にするのはなかなかきついです……
今のところは工務店以外の場所にも相談しながら進めていますので、今後の進展と一緒にまとめていけたらと思います。
ではー。