新築派にこそ知って欲しい中古戸建の売却理由。家主が家を手放す理由は何?
新築住宅を検討中の人には「将来も価値の残る家を建てたい」と思っている人も多いのではないでしょうか?
今回の記事は中古戸建の話ではありますが、まさに「将来も価値の残る家を建てたい」と思っている、新築志向の人にこそ価値のある話だと思います。
私が家を買うとき30件以上の中古戸建を内覧した体験談から「建物の売却理由」と「売りに出されたときの物件の状態・価値」についてまとめてみました。
- 家が手放される理由
- 家が手放される時の状態
- 買い手が見つかる家の作り方
「将来を見通して家を建てたい」と考えている人には役に立つ内容だと思います。
中古戸建の売却理由
そもそも、どうして家を売っちゃうの?
人それぞれに理由は様々だよ
一般的な中古戸建の売却理由として動産売却サイトのイエウールのアンケートから引用しますね。
家を売る理由は?よくある売却理由や伝えるときの注意点を解説!
- 住み替え(32.0%)
- 相続(23.0%)
- 資産整理(15.0%)
- 転勤、転職(11.0%)
- 金銭的な理由(9.0%)
- 離婚(7.0%)
- その他(3.0%)
そして、実際に私が見て回って出会った中古住宅の売却理由がこちらです。
- 住み替え
- 相続
- 金銭的な理由
- 離婚
- 家族の自殺
大阪の郊外で予算2,400万円前後で探してたら、こんな感じになりました。
この記事では、私が実際に出会った売却理由について体験談を踏まえてまとめています。
予算を上げたらお金持ちの資産整理とかも出てきたかもしれないね
具体的にはどんな物件だった?
売却理由ごとに「どんな状態で売りに出ていたのか?」をまとめてみました。
住み替え
- 築年数は20〜25年くらいが多い
- 別の戸建に引っ越すための売却が多い
- 家の状態は良い傾向あり
- 大半の家で外壁・屋根はノーメンテ
住み替え物件に多かった売却理由は「子どもが巣立ってコンパクトな家に引っ越す」「二世帯の家に引っ越す」というパターンのものです。
問題なく住み続けてきたけど、家の都合が合わなくなってきたから住み替えるという人がほとんどでした。
「家のトラブルで賃貸に引っ越す人」には出会いませんでした
順調に暮らしてきた家を売却するケースが多いので、他の売却理由と比べるときれいに使われている家の比率が高く、内覧でも惹かれるような物件も多かったです。
一方で、外壁や屋根の塗り替えのような大規模メンテナンスがされていることはほとんどありませんでした。
大規模メンテナンスの前に売ってしまって、買い手がリフォームしてから入居するというパターンになりがちです。
外壁だけでなく、内装や水回りなど何かしらのリフォームがされていることが仲介営業マンのセールスポイントになるレベルです。
まだ売主が居住中ということも多いので、内覧の時に地域や家の住み心地を直接教えてもらえるメリットもあります。
家具の配置やインテリアについては、何年も暮らしてきた後の「答え」の状態を見ることが出来るので、とても参考になります。
相続
- 築年数25年以上が多い
- 残置物が多い
- 間取りが古い
- 床にシミがあることが多い
- 家の状態はやや悪い傾向
- 値段の割に大きな家もある
相続で売りに出ている物件で多かったのが「相続してからそれなりの期間、誰も住んでいない家」でした。
年老いた両親が亡くなった時に近い状態で管理されているので、当時からの残置物が多く、介護の痕と思われるようなシミ・汚れが多いのも特徴だと思います。
- 仏壇
- 郵便物
- 子供・孫の写真
- 子供部屋のベッド、学習机
大きなもの、心理的に処分に困りそうなものが残っていることが多かったです
家の間取りが古く、内装、設備も傷んでいることが多いのでリフォームはほぼ必須です。
外壁、屋根も大型メンテナンスが数十年されていない場合がほとんどでした。
「家が汚い」というよりも、人が長い間住んでいなかったことと合わせて「家が廃れた」という雰囲気の傷み方をしている家が多くなってきます。
キッチンと茶の間が別になっていることが多いのですが、リフォームで壁をぶち抜いてLDKにしようとすると抜けない柱や筋交があることが多くあります。
実際に検討した感覚だときちんと手入れされていて、立地がよく、リフォームしやすそうな物件だと早く売れているように感じました。
築年数は古くなりがちですが値段の割に大きくて立派な家が見つけやすいのも相続物件の特徴だと思います。
金銭的な理由
- 築年数15年以下・築浅物件もある
- 家の状態が悪い
- ヤンチャな残置物が多い
- 近隣環境が良くない傾向
- 価格設定は意外と強気
住宅ローンの返済トラブルで売却される物件です。
築年数10年以下のいわゆる「築浅物件」もあるのですが、私の感覚としては「家の状態が悪くなりがち」です。
- 壁に穴が開いている
- 煙草の痕跡がある
- 壁に派手なステッカー
- ゴミを放置したであろうシミ
- ガラの悪さを感じる残置物がある
特にタイヤのような車関係の残置物があることが多く、中にはスロット台のようなヤンチャな人が住んでいたことを感じさせる物が残っていることもありました。
私が見た中だと近隣の家にも改造車が止まっていたり、歩いていると煙草の臭いがするようなエリアにある家もありました。
任意売却では相場よりも安くなることも出てきますが、任意売却前だと強気の価格設定がされがちです。
家は荒れていても新築建売が買えるくらいの金額で出ていることもありました。
離婚
- 家の状態は割と良い
- 意外と出会えない
検討中に出会った物件が2件だけなのですが、築数年と築20年近くで築年数には開きがありました。
家の中は割ときれいで住み替え物件に似た雰囲気でした。
夫婦仲と家の良し悪しは別なんでしょうね……
離婚物件は築浅の狙い目物件が出やすいと言われたりします。
しかし、イエウールのアンケートでも全体の1割もない売却理由なので出会うためには運も必要かもしれません。
他人の不幸を願うのは良くないと思いますけども……
家族の自殺
1件だけですが家族の自殺を理由に売りに出ている物件も内覧しました。
仲介のミスで告知事項を見落とされたまま内覧しました……
不動産屋が買い取って外壁、内装、水回りまでフルリフォーム済みの物件でしたが、相場よりも500万円近く安い金額で売りに出ていました。
SUUMOにも載っていたので気になってその後も見ていましたが、さらに100万円下がったあたりで売れたようです。
相場と比べてかなり安いので、気にならない人にはアリなのかもしれません。
「売れやすい家」と「売れにくい家」
中古戸建を本気で検討している中で感じた「すぐに売れる家」と「いつまでも売れ残る家」の特徴はこんな感じです。
- 外観・内装がきれい
- 間取りや立地にお得感がある
- 前向きに住もうと思える雰囲気
- リフォーム込みで新築建売以下の金額帯
- 家が汚い、荒れている
- 間取りや立地が悪い
- 心理的な抵抗がある
- 割高感のある金額
「条件の良い家」や「物件情報だけでもお買い得そうな物件」は1週間もあれば売れてしまいます。
売主が大切に住んでいたような外観も内装も綺麗な家だと、他の条件が悪くなければ本当にすぐに売れていきます。
立地や間取り、広さから考えるとお得感のある家もすぐに売れてしまいます。
反対に築浅でも使い方が悪く、家が荒れていて汚い家は売れていないように感じました。
リフォーム前提の金額でなら売れていくものの買い手とすると「そこまでするなら他の家を買う」という判断になりやすいです。
汚い家をあえて高値で買う理由がないんですよね。
あとは物件にもよりますが、気持ちが受け入れられない要因のある家も売れ残りやすいです。
事故物件だけでなく、人によっては離婚物件やゴミ放置跡のある物件も気持ち的に嫌なこともあります…
将来売れる家にしたいのなら?
中古戸建を買う側で検討した意見として、こんな家が作れていたら将来買い手がつくと思います。
- 家を綺麗に使う
- リフォームの自由度のある間取りにする
- 価値のある土地を選ぶ
中古戸建を検討している買い手はリフォーム込みで考えていることも多く「リフォームして住むことを考えればお買い得」と思える家は買い手が付きやすいかと思います。
実際に検討していて立地、広さ、間取りの良い家は即売れていきました。
また、リフォーム前提だったとしても「家を綺麗に使うこと」も大切なポイントです。
実際に検討してみて感じましたが、リフォーム前提でも家の現状から受ける印象は買い手の「買いたいと思う気持ち」に影響します。
家を探す夫婦のどちらかが少しでも「この家は汚くて嫌だな…」と思ったら候補から外れる可能性が上がってきます
印象面だけではなくリフォーム込みで考えている買い手は家の現状を見ながらリフォーム・メンテナンス費用を並行して検討したりもします。
その時にリフォーム・メンテナンス費用が抑えられたら、その分を物件の予算に回してくれるので売れる可能性も高くなってきます。
実際に我が家の検討ではリフォーム・メンテナンス込みのトータル予算で検討していました。
あとはハザードマップ、交通の便、周辺施設、学区、治安など 「暮らしのための価値」が高い立地の家は売りやすいので、家選びの段階で意識してみると良いかもしれません。
将来手放す予定がある人ほど、他の人が見ても「素敵な家になりそう」とイメージさせられるような条件の家を作ることが大切になるのではないでしょうか。
注文住宅を建てる人も内覧に行く価値はある
関係者には迷惑かもしれませんが、個人的には新築戸建を検討している人にこそ、一度中古住宅を見てほしいと思ったりします。
新築戸建を検討している人にもこんなメリットがあります。
- 年数に応じた家の劣化の度合いがわかる
- 間取り、設備の使い勝手がイメージできる
- インテリアの参考になる
- 家を手放す時の状況がイメージできる
- エリアの住み心地がリアルに聞ける
- 将来の家の値段がイメージできる
マイホームを建てる時には「暮らしやすい素敵な家にしたい」「将来も価値の残る家にしたい」「おしゃれなインテリアに囲まれて暮らしたい」と思ったりしますよね。
実際に中古戸建を見て回ると「家の将来がどうなっていくのか?」というのが、かなりリアルに想像できるようになります。
売主が居住中の家なら、実際に家を建てて10年、20年と暮らしてみなければわからないような話を聞くこともできます。
- 間取りの使い勝手
- 扱いに困ったところはどこか?
- 夏、冬の過ごしやすさ
- おおよその光熱費
- 公共交通機関の使い勝手
- 近隣施設との行き来のしやすさ
- 近所の人の様子
- 学区にある小中学校の評判
- 近所で子どもが遊べる公園の場所
中には「ゴミの収集は少し早めに来るから注意」というような細かい話まで教えてくれる売主もいました。
売主も売りたくて内覧の対応をしているので、礼儀正しく配慮を持って質問すれば、だいたいの質問には答えてくれます。
実際に人が暮らしていた家、暮らしている家を見ると、想像しても思いつきもしなかったようなことに気がつくことも多くあります。
というわけで、新築購入予定の人でも本気を出して検討するつもりで中古戸建を見てはどうでしょうか?
きっと役に立つ発見があると思います。